阿佐姫塚の伝説

森町には天方城のお姫様「阿佐姫」にまつわる伝説が残されています。
 
今から四百年ほど昔、天方城(あまがたじょう)に阿佐姫というたいそう美しくかわいいお姫様がおりました。年ごろになって、およめに行く話がきまりましたが、そのころ急に、たいそう重い病気にかかりました。殿様(とのさま)、奥方(おくがた)様はもちろんのこと、家来(けらい)の人たちもみんな心配してお医者様にみてもらったり薬を与えたり、手をつくして看病(かんびょう)したりしました。また、神様や仏様にお祈りして、一日も早くよくなるようにとお願いもしましたが、いっこうによくなるようすがなく、ただ苦しむばかりでした。
 ある日のこと、姫は腰元(こしもと)をまくらもとによんで、
「私の病気は、もうよくはなりません。こんなに苦しむなら、いっそ死んだほうがましです。そうして神になり、若いむすめたちが、この病気にかからぬよう、またかかっている人たちが早くなおるようにお守りします。」
と言いました。それを聞いた腰元は、
「お姫様、そのように気の弱いことを言ってはいけません。病気はきっとなおります。元気を出してください。もう少しのしんぼうです。」
とはげましました。
 このような話のあった日の夜のこと、姫は、自分の首に短刀(たんとう)をつきさして命をたちました。
 殿様や奥方様をはじめ、城中(じょうちゅう)や城下町(じょうかまち)の人々の悲しみはたいへんなものでした。姫のなきがらは、大鳥居(おおどりい)、蔵雲院(ぞううんいん)の近くの山にほうむられました。そのお墓を「阿佐姫塚」といっていましたが、後に小さな「ほこら」が建てられ、「阿佐姫大明神(だいみょうじん)」といわれるようになりました。そして、姫と同じ病気で苦しむ女の人たちのお参(まい)りが後をたたなかったといわれています。(「森町ふるさとの民話」より)

天方城の下、城下地区に今も阿佐姫塚が祀られています。先ごろ、この鳥居が老朽化し、観光協会や地元の人たち、関係者により再建されました。
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