「鈴木藤三郎」講演会6

「それでこの本の寄贈の際に藤三郎が送った願文(がんもん)というのがすごいので読み上げます。原文は難しいのでGAIAさんが現代語訳した文を読み上げます。
『願文 報徳社徒、不肖藤三郎は誠に恐れ謹んで二宮尊徳先生の神のみたまに申し上げます。
うやうやしく思いめぐらしますに、先生が一生涯、先だって説かれた報徳の教えの内容は、洋の東西を論ぜず、人種や宗教を問わず、昔から今にいたるまで幾千万年を経ても、およそ世界に生存する人類において貴賎や貧富、男女や老幼の別なく、まことによく遵守しなければならない大切な教えであって、もしこれが無ければ人道はすたれ衰えて民衆は何のわずらいもなく休むということはできないものです。先生がこの世にいましたときは、国を憂える至誠が外にあふれ、熱血のそそぐところには感動し奮い起たない者はなく、世を救い民をあわれむ良法が多くの州にわたってその功績は実に顕著でした。そしてその実践し自ら実行してきた事績は明らかであって先生の遺された書に存在し、その書はほぼ1万巻を数えます。しかしこれを知る者は多くはありません。知らなければ行うことができません。行わなければ世を救い民を利することができません。これはたとえば名高い玉を懐のなかにしまっておくようなものです。どうしてひどく嘆き悲しまないでいられましょうか。そこで尊徳先生の孫にあたる尊親先生のお許しを得て、これを書き写して全巻9千巻とすることができました。これを2,500冊とし、文庫一棟に収め、あわせてこれを神社に奉納して、一般の人々の熟覧・研究に備える。将来幸いに志のある有識者がこれをひもといて明晰な識見で先生の教えの内容を解釈し、熱情のこもった誠意でこれを世に拡張し、忍耐強く実行してやまなければ、一般民衆の風俗もにわかにおこり、経済的に豊かで勢力が強くなることが期待できます。仰ぎこいねがわくば先生の神のみたまが護りたまうことによって人類が必ず至るべき大切な道である報徳の教えの内容が広く世界に普及し、真実で正しい文明が実現することができますように。愚かなる藤三郎、まことに恐れぬかずいて敬って申し上げます
明治42年5月30日 報徳社徒 鈴木藤三郎 九拝』
いかがでしょうか。将来を見据えた視点に、私には100年も昔、戦前の日本で書かれた文には思えません。」

「鈴木藤三郎」講演会6
 日光市にある報徳二宮神社。右が藤三郎寄贈の石蔵
「鈴木藤三郎」講演会6
 報徳文庫。2500冊の報徳の教えが収められている。


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